ハードボイルド物件①孤独死ハウス
「なぜ買うのか?」と聞かれた俺はこう答えた。
「そこにボロ家があるからだ」
5月。
俺は某福岡県某地方都市に向かっていた。
人口6万。
交通の便が悪く、車でしか行けない。しかも高速も途中までだ。
コンビニはもちろんない。
田舎の田園風景が広がる。
近くには時折氾濫する川が流れている。
孤独死・・・そんなフレーズがよぎりそうになる外観で佇む物件。
築80年。お値段350万
中。
放置された残置物。
和室だけは綺麗・・・というか、かなり立派。
たまたま来た物件なのに周りの景色に既視感を感じていた。
運命的にもその物件は何度か来たことがある友人の家の真裏だったのだ。
「なんかあったら任せられるな」
そんな打算がよぎったのは言うまでもない。
当初民泊もありだな、と思っていた俺は勢いだけで300万で物件を即決した。
遠いし、ボロいし、そもそも周りに人住んでない。
なんでこんなところを選んだんだ?
300万の根拠は?
そもそも家賃いくら取るつもり?
路線価格ってなに?
いろんな思いを俺は勢いだけで吹き飛ばして帰りの車の中で即決した。
俺はいつもスタートは行動から。後のことは後で考える。
後悔はいつも後からだから今は前に進むのみ。
物件情報:福岡県某地方過疎地
土地151坪 床面積120平米 7DK 二階建て 築80年
お値段:300万円